願海寺新聞 第93号 – 浄土真宗本願寺派 新井山 願海寺 浄土真宗本願寺派 新井山 願海寺

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願海寺新聞 第93号

発行:2021年7月

こんにちは。6月は、願海寺に残されている古文書類を整理する作業に取り組んでいます。
過去には富山市公文書館さまからも調査があり、同所には21点の史料がデータとして保管されていますが、その他にも未整理の古文書が多数あるため、整理し、保管を進めているのです。
まず、史料を時代ごとに大分類して、数や内容をパソコンに打ち込みます。興味深いものは解読にも挑みながら、願海寺の歴史の不明な点を少しでも解明できればと追究しています。
お寺の伝承も貴重な史料であるのですが、どこかのタイミングで誤って受け継がれてしまっているであろう事例もあります。ですから、お寺に残る古文書などだけでなく、加賀藩・富山藩や本願寺に残された史料も辿って調べています。甲斐あっていくつか分かってきたこともあれば、逆に謎が深まっていることもあります。精査して、いずれまた皆様にお伝えしていければと存じます。

合掌  南無阿弥陀仏

獅子王のごとし、畏るるところなきがゆゑに。
『仏説無量寿経 下巻』

宗教ってなあに?~日本編⑪~

江戸時代から誰に対しても葬送儀礼(お葬式など)が営まれるようになったと共に、私たち一般庶民における「お墓」という宗教文化も整えられ発展していきました。そもそも、死者(遺体)を弔い供養しようとする行為は世界中にあるもので、人間が「死」を知ったときから始まっていったものです(第81号参照)。解剖学の養老孟司博士が、「死は科学的な現象というよりも社会的な現象なのです」とおっしゃっていることも、とても興味深い視座であります。

さて、死者を弔う形は文化によって様々です。現代日本では、遺体を火で燃やし骨とする「火葬」が99%以上となっていますが、歴史の中においては、遺体を土に埋める「土葬」が主であったこともあります。他にも、遺体を自然環境などに放置・安置する「風葬」や、遺体を川や海に流す「水葬」などがあります(日本では「死体遺棄罪」となります)。

これら弔いの形は宗教観(各宗教が持つ生命観)が大きく反映されます。ですので、「火葬」がタブーとされる宗教もあります。他の文化をもつ人たちと共生していく現代の社会を生きる私たちにとって、他者の宗教性を互いに認め合うことは必須です。

ところで、もし「お墓」がなければどんな状況になるでしょうか?ちょっと想像してみて下さい。
「お墓」がないということは、決められた「墓地」だってないかもしれません。そうすると遺体や遺骨があらゆる所に散らばってしまうでしょう。当然、衛生環境の面で良くないですね。
「お墓」文化は、死者を思い弔う宗教的な心と、生活環境における衛生的な処置などが積み重ねられてきての上にあります。お墓は実に「合理的」なシステムであるわけです。
しかしまた、その合理性も社会と共に変わりゆきますから、「お墓」の有り方も変わっていくことは必然です。いま私たちはその変化の中を生きているのですね。今こそ、宗教文化として大切に受け継がれてきた「お墓」と、その未来について、しっかり考えていきたいものです。

なもあみだぶつ♪

クイズ

お墓について「埋葬(まいそう)」という言葉をよく聞きますが、法的には以下のどれを指すでしょう?

①遺体に宗教的な処置を施す
②遺体を土中に埋める
③遺骨をお墓に納める

☆先月の答えは『①阿弥陀経』でした!

僧侶似顔絵
村上 巧弦
願海寺新聞