願海寺新聞 第97号 – 浄土真宗本願寺派 新井山 願海寺 浄土真宗本願寺派 新井山 願海寺

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願海寺新聞 第97号

発行:2021年11月

10月のはじめは30度もあった気温が、一気に下がり、朝晩は10度を下回る日まで出てきました。季節の移ろいを感じる間もなく、すでに「秋」です。そういえば今年はまだサンマや栗などの秋の食材をあまり味わっていない気がします・・・四季の変化に富んだ日本もついに何やら熱帯地方のような気候へと変わっていくのでしょうか。報恩講の日はいいお天気であってほしいと毎年願っています。

報恩講と言えば、私がまだ小さい頃は、本堂は満堂で、戸のすきまからそーっと中をのぞくと、「聴いている人たちが怒られている!?」と思うほどのお説教者さんの熱弁ぶりと、それに応える聴衆の歓声や笑い声が印象的で、今でも記憶に残っています。まるで寄席に来るようなそんな感覚の行事だったのかもしれません。時代が変わってもそんな気軽に来ていただけるお講でありたいと思っています。そういえば・・・あの頃は11月はとても寒くて、本堂はストーブ必須でした。やはり温暖化は進んでいる・・・?!

智泉

信はよく恵施して心に悋しむことなし。
『華厳経』

宗教ってなあに?~近現代編~

明治時代に取り入れられていった欧米の文化は、昭和の戦後にはさらに浸透していき、また、高度経済成長によって都市化も進みました。その激しい変化は、地域的なつながり(地縁)も、親族同士のつながり(血縁)も、無くても生きていける社会をもたらしました。
そして、そこに根付いていた宗教的なもの、たとえば町や村でのお祭りや、各家庭のお仏壇や仏事といった土壌や信仰も廃れていくばかりです。宗教的なものを「聖」と呼び、世間的なことを「俗」と呼びますが、近代~現代社会はそのバランスが「俗」へ偏ってしまったのです。

しかし、古来の日本文化や伝統は捨て、衣食住に満たされた生活を手にしても、「幸せ」と感じている人は少ないようです。
実際に、「日本人は世界の中でも幸福度が極めて低い」ことが国連の『世界幸福度調査(World Happiness Report)』でも明らかに現れています。
これは、日本人の生活が他の国々と比べて「宗教」との関わりの薄いこととも相関性があると考えることもできるのではないでしょうか。

さて、仏教では、この世の全て(人間だけでなく全宇宙)が互いに関わり合って成立しているという「縁起」の思想が根幹にあります。つまり、世の中がどんなに便利になろうとも「自分一人で生きていける」はずはないのです。なのに、その真実が見えない(教えを受け入れようとしない)から、どこまでも自己中心的に生きようとする。そこに苦しみの種があります。
さらに、その苦しみは自分一人だけではなく、他の人へ、社会へと伝播していく(これも縁起です)。
ですから、自分さえ良ければという思考の「苦しみの種」を捨て、少しでも誰かに寄り添おうとする、慈しみ合おうとする、施そうとする「安らぎの種」を撒こうと努めていくのです。その心掛けから喜びが生まれ、「幸せ」へとつながっていくのでしょう。
さあ、まずは宗教的なものを感じてみるだけでも良いよ思います。「俗」をちょっと離れて「聖」な空間に身を置いてみたり、教えを聞いてみる。きっと心が軽くなるはずですよ!

なもあみだぶつ♪

QUIZ

仏教では「布施」の行いを大切にしますが、金銭が無くても行える「無罪の七施」に含まれていないのは次のどれでしょう?!

①早寝・早起きを心がける
②優しい言葉で人に接する
③困っている人を助ける

☆先月の答えは「2.西」でした!いたち川の方に向いて建っていたのですね。

僧侶似顔絵
村上 巧弦
願海寺新聞