願海寺新聞 第98号 – 浄土真宗本願寺派 新井山 願海寺 浄土真宗本願寺派 新井山 願海寺

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願海寺新聞 第98号

発行:2021年12月

今年も最後の月となりました。この一年は皆様にとってどのとうな年だったでしょうか。私共にとってはご存知のように、良い事ばかりでなく、非常につらい事もありました。この世の中の一年を見てみましても、理不尽なことはたくさんありますし、「どうしてこんな事が起こってしまったのだろう」という悲しい出来事もたくさんあります。一年の振り返りのこの時期にいつも思い出すのはブッダの言葉「過去に囚われてはいけない。ただ未来を待つだけでもいけない。今するべきことに集中しなさい」という『マッジマニカーヤ』という経典の一節です。色々とあったこともすでに過ぎ去ったことであり、あれこれ考えばかりが先走ってもどうしようもないということです。今年はちまたで“忘年会”が開催されるのかはわかりませんが、108の除夜の鐘を聴きながら、来年のために今から何をするべきなのかに焦点をあてて、心穏やかな年越しをむかえたいところです。皆様も良いお年をお迎え下さい。

智泉

世のなか安穏なれ 仏法ひろまれ
『親鸞聖人御消息』

宗教ってなあに?~カルトについて①~

「カルト」と聞くと何を思い浮かべますか?具体的なカルト教団名や教祖についてでしょうか?それらカルト教団が起こした事件などについてでしょうか?
ここ日本では、オウム真理教による松本サリン事件(1994年)や地下鉄サリン事件(1995年)のインパクトが強く、カルトだけでなく宗教全体が「危ないもの」というイメージを多くの人が持つことになってしまったのではないかと思います。

まず、そもそも宗教は、「生き続けていたいのに、必ず死なねばならない現実」といった不合理さに対して意味づけを与えることによって、人や共同体に安定をもたらす機能を持っています。
たとえばご法事に参列したとき、心静かにただその場に身を置いただけで、どこか「ほっ」とすることや、いつも当たり前としか思えていない家族や親類に対して安心感や愛おしさを感じることってありませんか?
また異なる一面として、宗教は社会とは異なる価値体系を持つことで、様々な変革を起こす機能を持ちます。たとえば、かつての日本の一向一揆のように、権力支配に対して宗教的な結びつきのもと団結して立ち向かった抵抗運動もそうです。
宗教が持つ、その「安定をもららす機能」と「変革を起こす機能」のバランスが崩れて極端に変革へ偏ってしまうと、暴走、つまりカルト教団化してしまうといわれています。
「カルト」の特徴は、特定の人物・事物(カリスマ的教祖など)への熱狂的崇拝から、信者に対して心理操作で閉鎖的な考え方や世界観を植え付け、身体的にも精神的にも自由や自主性を奪っていくというものです。それはつまり、犯罪行為を犯す極悪な集団だから「カルト」だというわけではないということです。
さらには、カルトとは「ある人・事物への熱狂的崇拝(『日本国語大辞典』)を指しますから、宗教団体に限られたものでもないのです。私たちの身の回りには気付かぬうちに「カルト化」してしまっているものが実にたくさんあるのですね。

次号ではそこを考察していきます!

なもあみだぶつ♪

クイズ

親鸞聖人のお師匠は法然聖人ですが、正式なお名前は“法然房〇〇”とされます。
さて、〇〇に入るのは以下のどれでしょう?!

①弁慶
②源空
③鑑真

☆先月の答えは「①早寝・早起きを心がける」でした!

僧侶似顔絵
村上 巧弦
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